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「夢よもう一度」25年万博誘致で大阪は元気になるか

中村智彦・神戸国際大学教授
入場者で埋め尽くされた大阪万博の会場=1970年9月6日撮影
入場者で埋め尽くされた大阪万博の会場=1970年9月6日撮影

 2020年東京五輪の次の国際イベントは「大阪万博」だと言われている。大阪市議会は11月15日、「(25年の開催を目指し)実現に向けて全力で取り組む」とする決議を賛成多数で可決した。その実現で関西経済の浮揚を図る、というのが推進派の主張だ。根拠の一つに、1970年大阪万博の活況の“思い出”があるようだ。しかし、結論から先に言えば、大阪万博で関西経済が活性化したなどという事実はない。

 当時を知る人は、むしろ70年代が日本経済にとって苦難の10年間だったと記憶しているだろう。大阪万博後にオイルショックが起きて、原油価格の急上昇で経済に大きな問題が生じた。また、国内の公害が社会問題化していたころだ。まず、大阪万博の影響がどのように分析されたのか、いくつかの報告書から見てみよう。

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神戸国際大学教授

1964年、東京都生まれ。88年、上智大学文学部卒業。96年、名古屋大学大学院国際開発研究科博士課程修了。外資系航空会社、シンクタンクで勤務。大阪府立産業開発研究所、日本福祉大学経済学部助教授を経て、現職。専門は中小企業論と地域経済論。中小企業間のネットワーク構築や地域経済振興のプロジェクトに数多く参画し、TBS系「坂上&指原のつぶれない店」にも出演。