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東芝「限定付き適正」決算は“見解の相違”で見逃されるのか

編集部
決算発表の記者会見を終え、会場を後にする東芝の綱川智社長=2017年8月10日、竹内紀臣撮影
決算発表の記者会見を終え、会場を後にする東芝の綱川智社長=2017年8月10日、竹内紀臣撮影

1カ月半遅れの有価証券報告書(1)

 世の中が夏休みに入りつつあった8月10日、東芝が約1カ月半遅れで2017年3月期の有価証券報告書を関東財務局に提出し、決算発表を行った。東芝の会計監査を担当するPwCあらた監査法人は「限定付き適正」という結論を出した。“有価証券報告書の内容に問題はあるが、それ以外は適正”との内容だ。東芝の綱川智社長は記者会見し、問題の部分は「見解の相違」とし、「当社の決算は正常化した」と説明した。本当に決算は正常化したのか。

 監査法人に「問題あり」と認定されたのは、米原子力事業で発生した損失処理の時期に関してだ。詳しく説明しよう。東芝は昨年12月27日、子会社だった米ウェスチングハウスの原発4基の建設工事をめぐり、「巨額損失発生の可能性」を公表した。その後、工事損失引当金6522億円を4~12月期決算で損失処理すると発表した。

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長く経済分野を取材してきた川口雅浩・毎日新聞経済部前編集委員を編集長に、ベテラン・若手編集者が経済・社会の最新情勢を追います。
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