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「平均寿命100歳を超える社会」にどう備えるか

平野英治・メットライフ生命副会長・元日銀理事

 ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏の近著「ライフ・シフト 100年時代の人生戦略」(東洋経済新報社)がベストセラーとなっている。決して遠くない将来に訪れるであろう「平均寿命100歳を超える社会」に備えるべきだというのが、その主なメッセージだ。

 我々の体は、「100歳」という寿命に十分に対応できているだろうか。「健康寿命」について考えてみよう。健康寿命とは、「健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間」のことだ。過去15年程度のデータを見ると、平均寿命の延びに比べて健康寿命の延びは短いのだ。

 認知症の患者は2025年には700万人を突破し、65歳以上の5人に1人が罹患(りかん)するというデータもある。「平均寿命100歳を超える社会」が到来するのに、長生きに伴うリスクは減っていないことになる。

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メットライフ生命副会長・元日銀理事

1950年生まれ。73年、一橋大学経済学部を卒業後、日本銀行に入行。33年あまりの勤務で国際局長や国際関係担当理事を歴任した。金融政策、国際金融の専門家で、金融機関の監督にも手腕をふるった。2006年に日銀理事を退任後、トヨタ自動車グループのトヨタファイナンシャルサービス株式会社に転じ、14年6月まで副社長を務めた。同年9月、メットライフ生命保険日本法人の副会長に就任。経済同友会幹事としても活動している。