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経産省若手の提言「不安な個人」があおる世代間対立

藤田孝典・NPO法人ほっとプラス理事

提言「不安な個人、立ちすくむ国家」への不安(1)

 経済産業省の若手官僚グループが5月18日、「不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~」というリポートを発表しました。

不安な個人、立ちすくむ国家

 国際関係や経済・社会構造の変化、技術革新のなかで、少子高齢化が進む日本社会と個人がどのような新しい社会システムを採用すべきか、という政策提言です。そのベースには次のような問題意識があります。

 「人類がこれまで経験したことがない変化に直面し、個人の生き方や価値観も急速に変化しつつあるにもかかわらず、日本の社会システムはちっとも変化できていない。なぜ日本は、大きな発想の転換や思い切った選択ができないままなのだろうか」(P9)

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NPO法人ほっとプラス理事

1982年生まれ。NPO法人ほっとプラス理事。ソーシャルワーカーとして現場で生活困窮者支援をしながら、生活保護や貧困問題への対策を積極的に提言している。著書に「貧困クライシス 国民総『最底辺』社会」(毎日新聞出版)「下流老人 一億総老後崩壊の衝撃」「ひとりも殺させない」「貧困世代 社会の監獄に閉じ込められた若者たち」など。